箱根駅伝シンポジウム

恵比寿ガーデンプレイスまで行ってきました。
今日は湘南新宿ライン新宿駅のこ線橋架け替え工事で大崎止まりだったのでそこで山手線に乗り換えてきました。


開会に先立って、青葉昌幸・関東学生陸上競技連盟会長の挨拶。
「箱根から世界へ」というテーマを掲げながら、前回大会では3校も途中棄権を出してしまった。この反省を生かすには、もう少し選手を箱根に集中させないとダメ。そんな思いでこの会を設けました。」

第1部の司会は日本テレビ蛯原哲アナ。彼は来年正月の箱根駅伝中継で2号車を担当するそうです。
蛯原アナの隣りには田中ウルヴェ京、尾方剛、坂口泰、有森裕子各氏が参加。
テーマ「世界の今」五輪に出場した各氏が語る。
尾方「予想以上にペースが速く想定外だった。ずっと中途半端な位置にいたので達成感がなかった。何のためのマラソンだったのか・・・」
田中

  • 「生真面目に達成感を求める人はダメ。非真面目でいけ」
  • 「勝ちたいと思わない意識を作るトレーニングをする」

ラソンの高速化について
坂口「高速レースが進む中、北京までは待ってくれると思っていたが、そうはいかなかった。」
有森「え〜?というような驚きを感じた。事前に流れた情報がネガティブ過ぎて、それが選手の気持ちを左右させたのではないか。」
メンタル論
坂口

  • 「走れるとヒーロー気分になるというそういったプライドだけが高い人はダメ。現実を認識しないと次の世代に進めない。」
  • 「監督に言われてはいその通りでは成長しない。」

尾方

  • 「走れないくせにプライドが高かった自分が監督から毎日のように怒られていて嫌だな〜と思っていた。(今ではパワハラで訴えられてしまうことも言われた)でも実業団の監督で怒ってくれる監督はいない。言われているうちが華。見返してやろうという気持ちが今あの自分につながっている。」
  • 「今の練習は、3ヶ月前にメニューを作り、監督と相談した上でこなしている。大学時代は故障ばかりしていた。走れないことで補強運動をしていたからこそ今の自分がある。」

有森

  • 「自分はスピードがなかったので、毎日毎日走りこんだ。陸連の登録ミスで走れなかった時は悔しくて壁を蹴りまくった。」
  • 「小出さん(小出義雄)が言っていた「カミソリと鉈」の理論。カミソリはスパッと切れるが1回使っただけですぐボロボロになってしまう。鉈は大きい木などを切って何回も使える。どんな状況にも耐えられるには独自の意志を持ってその気持ちを維持し続けることが大事。今の陸上は技術は向上しているが独自性だ育っていないのが現状。」

箱根を目指す人へのメッセージ
尾方「箱根ではなく世界を目指すためには実業団でも頑張ってほしい。」
坂口「オリンピックは若い時をかける価値がある。」
有森「箱根を最初の一踏みにしてほしい。」
いや〜、ためになりました。自分も。

第2部は金哲彦氏を司会に、大後栄治、山澤文裕、そして第1部に続いて田中各氏が参加。
主に取り上げられたのは、前回大会での3校途中棄権。
大会終了後に監督会議で報告書の提出を要求。
3校の答えは、
東海大学「蒲田踏切で足をひねった」
順天堂大学大東文化大学「事前のコンディション調整ミス」
後者の2つは事前に防ぐことができた。
前回の途中棄権を引き起こした3つの原因
1.疲労骨折
2.肉離れ

  • 各大学が月に走る距離は600〜800km(平均720km)。夏の合宿では1100km走ることもある。
  • 他校がやってるならウチもやるという気持ちがある。

3.脱水症状

  • 前回大会の反省から次回からは給水は任意で1回、監督と大会役員の判断で1回というルールに変更。給水をどこで受けるかが勝負のポイントに。
  • 冬にかく汗の量は、1時間に少なくて700cc、多くて2000ccにもなる。だから途中でもっともっと給水をしてほしい。

田中「選手が今どんなストレス状態にあるのかを把握する。また、日々の生活の中でも見極めるのが大事。」
大後「最近は個のトレーニングをしているので時間と手間がかかる。昔は集団でトレーニングをしていたが、人は個々に体も性格も違うので今では個別化が重要。本音を言えば部員全員を見るのは難しいのが本音。」
レーニン
大後「シーズンオフがない。レースが多過ぎる。これでは体力が持たない。大きなケガをする前に短いオフが必要だ。
田中「スケジュールに山谷がないと選手が楽しめない。異常になろうという気持ちが大事。」
ペース配分(モグスの失敗を次の区間新へと生かした経験をもとに)

  • どう考え、どう感じるのか?の状況判断。

箱根へのメッセージ
田中「ドラマチックじゃない子が成長してるので、冷静にみんなを応援したい。」
山澤「普段の力を発揮するには、指導者と選手とのコミュニケーションが大事。」
大後「箱根駅伝は優秀な指導者を育成する場でもあるので、指導者としての力量が問われる。」
自分としては気象条件を把握するのも大事ですね。
前回大会では3校棄権ばかりがクローズアップされましたが、その陰で8区順天堂大学の選手も脱水症状にやられ、あわや1校で2人の選手が棄権する可能性があったのです。
その原因は気候の変化です。
海沿いという比較的風があるところを走っていた選手が遊行寺の坂で体力を消耗し、坂を登りきったところで海風がなくなってさらに強い日差しに晒されたらそりゃ脱水症状を起こしますよ。
その為にも大事だと思います。